数寄屋職人の伝統的な技術を生かしながら現代の住まいの生活し易さや快適性を融合させた住宅。
こちらの住宅の外観は数寄屋造りですが、内観は現代的な住宅です。数寄屋職人の伝統的な技術を生かしながら現代の住まいの生活し易さや快適性を融合させた住宅となっています。数寄屋造りを現代的にアレンジした外観。内観は現代的なモダンデザインの中に和の要素を取り入れています。和風住宅は生活しにくいイメージもった方が多くいらっしゃいますが、玄関にはシューズ庫、寝室にはウォークイン・クローゼット、キッチンには4畳の大容量食品庫などの収納を多く設け、また洗面脱衣室には家事コーナーを設けるなど、現代の生活スタイルに合ったプランニングとなっています。この家には、大空間の部屋や吹き抜けなどは一切ありません。無駄な空間をなくし、ほどよい大きさの生活空間を造ることで、「光熱費の削減」や「収納量の確保」を実現しています。そのため、基本天井高も一般の住宅よりも20㎝ほど低いのですが、さまざまな設計上の工夫をすることで、低さを感じさせない空間となっています。床や壁には、無垢の木材をそのまま無塗装で使用し、木を肌で感じることができます。そして、食品庫やウォークイン・クローゼットなどの各収納部屋には壁・天井とも調湿効果のある無垢の杉材を全面に張り、現代の高気密高断熱住宅の欠点の一つであるカビの発生を抑制しています。
数奇屋造りとは
数寄屋(すきや)造りとは、茶室を起源とした建築様式で、簡単にいえば、余計なものを削ぎ落としたシャープですっきりとしたデザインの和風建築をそう呼ぶ場合が多く、代表的な建築物では、「桂離宮」や「修学院離宮」。現代数寄屋で挙げると、「佳水園」や「猪俣邸」などがあります。伝統的建築様式でありながら、現代のモダンデザインに通ずるものがあり、フランク・ロイド・ライトやル・コルビュジェ、ミース・ファン・デル・ローエなどの20世紀モダニズム建築の巨匠といわれる建築家たちに多大な影響を与えています。これは、数寄屋が世界に通用する美学であることの証明といえます。最近は、シンプルなモダン建築が流行し、数寄屋建築などの和風建築は敬遠されがちですが、そのモダン建築のルーツは数寄屋建築にあるといえます。
- 所在地 : 佐賀県武雄市
- 用途 : 住宅兼事務所
- 家族構成 : 3人
- 設計 : 野中建築設計事務所
- 施工 : 野中建築設計事務所
- 種別 : 新築
- 竣工 : 平成23年5月
- 延床面積 : 197.50㎡
- 構造 : 木造2階建
- 写真 : 八代写真事務所